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遠くの方からバタバタとけたたましげな足音が近づいてくる。
ドアがガラッと開かれた、
「コーエン!」
頭が上げられないがその声を聞いて安堵する、ビアンカだ、彼女は自分の姿を目に入れるや、溢れんばかりの涙をその瞳に浮かべて、
「本当に、本当に目が覚めたの?心配…したんだからぁ!」
それだけ言うと彼女は床に崩れ落ちたらしく、啜り泣きが聞こえてくる。
何となくばつが悪いがそんなに自分のことを心配してくれていたなんて、もらい泣きしそうだ。
程なくして、
「コォォォェェェエーン!」
ああ…だめだって、もう少しくらい患者に気を使ってくれてもいいじゃないか。
それはまさに『出現』の言葉を当て嵌めるにピッタリの現れ方だった、突然視界にぬっと出現したその人物-----
リュウだ、リュウ・オダ-----まったく、気配を消すのが得意なんだから、今は驚く気にもなれない。
…の、だが、次に彼から発せられた台詞には驚愕せざるを得なかった。
「拙者は、おぬしのことを本当に心配していたぞ!なにせ、お前は半年も眠っていたんだからな」
はんとし…
半…年…!?
「は、半年だって!?」
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