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本来ならガバッと跳び起きて言うべき台詞だった、しかし、だるすぎて頭も上げることができなかった、従って非常に変な姿に見られたことだろう。
「本当、このままあなたが逝ってしまうんじゃないかと…とにかく良かったとしか言いようがないわ…」
その言葉はコーエンにさらなる混乱の拍車をかけた、そんな馬鹿なことが…!!
確か…確か僕は飛竜と戦っていた、その飛竜はなんだ?なんだったんだ?なぜ負けた?
依頼主は誰だったっけ?それとも…自分の意志?
何か、何か変だ、まだ忘れていることがある気がする、それは……
人? 人を忘れているのだろうか?ビアンカ、リュウ、いいや忘れるはずがない、現に自分の近くにいる二人がそれだ。
シルバー?違う違う、それはうちの愛犬じゃないか……そうだ、あいつは元気にやっているだろうか?自分がいない間誰が面倒をみていてくれたのだろう?あれでも家族の一員だからな……?
……家族。
……………
僕の父さん、母さん…思い出せない。
兄弟、姉妹…思い出せない……!!
戦慄と動揺の波が脳内を、感覚としては体中を駆け抜ける、なんで、なんでなんでなんで!?
何故だ!? 名前、顔、年、性格、すべての家族においての情報-----
何も思い出せない。
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