第一章 戦場の記憶

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 あれから何日かが経った、今は退院していつものゲストハウスに住んでいる。  半年たった今も、この村は変わっていなかった。  この村、マカルパ村は小さいながらも誇れるところが多い、まさに調合士によって栄えた村だといえる、古来より、薬の発祥地といえばこの村だと謳われるほどに。  それも誇張ではない、実際にこの村の先々々々々々代村長が何を隠そう、今でも多くのハンターに親しまれる『調合書~基礎編~』を大成した人物である。  他の村に比べハンター稼業をしている人は少ないものの、マカルパ村出身だと、そう言えばたいていは一目置かれるのである。  町からはさほど離れていない東に位置し、一年を通して温度差の少ない冷涼な気候から、商人より自作農に従事する人が多いという数少ない小さな田舎の村だ。
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