カラスと軍人

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「お前、何も無いじゃないか」 「そんな! そうだ、軍人! 先生はそこに軍人が居たのを見ましたよね!」 「軍人だぁ? んなもん見てねぇよ。お前しか居なかっただろ…」 「そんな… じゃあ俺、幽霊でも見たのかな…」 すると先生は何か考えていた。 「軍人ねぇ……」 先生は頭を掻きながら言った。 「もしかしたら、お前が見たのは本当に幽霊かもしれないな…」 「え…どうしてわかるんです?」 この後、俺は先生からとんでもない事を聞いてしまった…… 「あのな…この学校が建つ前、この辺りの土地は実は…… 『防空壕』だったんだよ。 それでな、丁度ここだ。この砂場の下の所だ… ここがな…… 『敵に殺されて死んだ人達を置いておく場所だったらしいぜ』」 それから、俺はその砂場へは近づかないようにしている。 あの軍人は何かを伝えたかったのかもしれない。 でも、俺はこの事を誰にも話さなかった。その方が、あの軍人は喜ぶような気がしてね…… 俺は今日もまた部活を夜遅くまでやっている…… そして…… 『今日もカラスが三十羽ほど集まって、不気味な鳴き声をグラウンドに響かせていた……』 _
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