86人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
9月18日 月曜日
夏の暑さもピークを過ぎ去った9月中旬、日本の関東地区に位置する都市、通称『魔技術都市』にも少し涼しげな風が吹いていた。
聞けば今年の夏はもう終わりを迎えたらしく、後は涼しくなる一方らしい。
そして生徒人口240万人を抱える魔技術都市を3つに分けた都市の一角をなす『新東京市』の中にも同様に一迅の風が流れた。
この世界に存在する科学の結晶、次世代魔術が確率されて30年あまりが流れている。
実際に実用的になったのは20年ほど前であり、そのスキに日本は様々な発展を遂げてきたのだ。
ある時はゲーム機に、ある時はアトラクションに、ある時は軍事兵器に化学を詰め込み。
そんな世界の大きな事情に多少なりとも関わっている、と断言できるごく平凡な少年は、今まさに口をあんぐりと開けて目の前の嘘みたいな光景を見ていた。
現在位置は自宅のマンションの玄関。
質素な感じがとっても少年に似合っている。なんだか壁は少し剥げているし、なんといっても階段が使えない。
その原因はというと、次世代魔術のバグとも言うべき電子的生命体の『電磁獣』なる物が、何の因果かマンションの階段にエルボーを喰らわしやがったのだ。
マンションに住んでいた生徒達にはさぞかし迷惑な事だろう。
おかげ様で、工場などで鳶職の方々が熟練された勘と素晴らしい筋肉で登っていくような、明らかにスカスカな階段しか設置されていない。
電磁獣がエルボーを喰らわした衝撃は激しく、どうやら結構大きな問題になったらしい。
とは言っても、その時にコンクリートの下敷きになった不幸少年には、その時の記憶が無いのだが。
最初のコメントを投稿しよう!