68人が本棚に入れています
本棚に追加
ドライブ中に
「あー、腹減ったなぁ。」
俺が言うとハルは
「朝ごはんまだだったもんね。パンあるよ」
とリュックの中からパンを5個くらい出してきた。
ありがたくメロンパンをもらうことにする。
「コーヒーもあるよ」
リュックから俺の好きな缶コーヒーまで出してきた。
…その大きなリュックには一体何を詰め込んできたんだ?
ハルは
「隕石落ちるって最初に話聞いた時に食料をたくさん買いこんでおいたんだ。」
と得意気だ。
明日死ぬかもしれないのに、このまったりとした空気はどうしてだろう。
俺はどこかでほっとしているのかもしれなかった。
この先の人生で、ハルが恋人を作って、結婚をして、俺から離れていくのは耐えられない。
今人生が終わるのは、俺にとって苦しみから逃れるのにちょうど良い。
もっとも、ハルが女を抱くのはどうも想像できない。
線が細くて女の子よりもスラリとしている。
童顔で中学生位にも見えるあどけなさは、もうすぐ成人の仲間入りをするとは到底思えない。
最初のコメントを投稿しよう!