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季節は三月初め。
真冬までとはいえないがまだまだ寒い。
俺はサングラスにキャップを被った。
真夏に長袖着たり、真冬に薄着の季節感覚のおかしなハルにもマフラーをグルグル巻きにさせ顔の半分を隠させた。
「おー、やっぱ海はいいなぁ。タクちゃん、走ろうか」
しばらく海辺で棒っきれをもって愛犬とはしゃぐハルを観ていた。
う~み~はぁ、ひろい~なぁ、おおき~なぁ♪
波うち際で子供みたいに飛び跳ねるハルに俺は叫ぶ。
「靴は脱ぐなよ!裸足になるなよ!」
「兄やん、過保護すぎー」
過保護になるのは仕方ないだろう。
昔から身体が弱かったんだから!
愛おしい存在。
見ているだけでも、穏やかな気持ちになる。
昨夜あまり寝てなかったせいかだんだん昼寝をしたくなってきた。
「ハル、ハルハルハル…」
ハルに向かって手招きをする。
「人を犬みたいに呼ばないでよ。」
「こっち来て?」
ハルを呼ぶ。
「何?」
「ここ座れ。」
海から少し離れた石の階段のところに座らせた。
俺はハルの膝に頭を乗せて横になる。
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