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いつから泣いてたんだ!
ギョッとして言葉もでない。
幼い頃のハルではなく、大人の感情を表情に載せたハルが泣いている。
意識せずにサングラスを外して放り投げた。
目を真っ赤にさせて鼻も真っ赤にさせて、頬まで巻いたマフラーが涙で濡れている。
愛しい者の泣き顔は俺を狂わす。
否、弟を愛した時点で既に狂っていたのかもしれないけれど。
「トシ…ッ」
名前を呼ばれて、ハッとする。
ハルの切羽詰った感情が俺に飛び火してきた。
自然と手を上に伸ばして俺の頭上にあるハルの頭を引き寄せた。
片方の手でハルのマフラーを顎の下までずらし、見えた唇を自分の唇に重ねさせた。
濡れた頬と湿った唇がハルの気持ちを表現していた。
俺の乾燥しきった心にも浸透してくる。
キスをしながらハルが口の中で
「好き…トシ…ずっと…」
と洩らしたから、そのまま舌をからませて深いキスにした。
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