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―――冷静に考えてみれば最後かもしれない日に俺を誘ったハルも、
そんな日に海なんて二人きりで来ることにごく普通に受け入れた俺自身も
二人にとっては一番大事な人が誰なのかを表していた。
キスをしながら可笑しくなって、笑ってしまった。
ハルもつられて笑った。
「兄やん、もう一度言ってよ。愛してるって」
「言えるか、バカ。」
「…いいよ。もう俺の頭の中で録画されてるから。」
笑いながら泣いて目をあわせて、またキスをした。
キスに夢中になっていたら
「に、ぃやん…」
ハルがモゴモゴとキスに応じながら話しかけた。
「何?」
顔を離してハルが言う。
「いいとこなんだけど…タクちゃんが…。」
「え?」
「兄やんの頭のすぐ近くで…うんこしてる…。」
「…」
愛犬のしたうんこを守備よく持ってきたフン処理用バッグに入れてハルは車に乗り込んだ。
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