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「兄やん、帰ろ。」
そうして俺の横の定位置できっちりとシートベルトをカチリとしめた。
「帰ってどうする?」
俺も運転席に乗り込む。
ハルはいたずらっ子のような顔をした。
内緒話をするように俺の耳元に口を近づけ
「愛し合う二人がスることなんて決まってる。」
と囁いてフフッと笑った。
「いいのか?」
「地球最後の日かもしれないもん。」
「そうだな。」
俺は合点する。
ハルがつけたばかりのシートベルトをはずして俺にしなだれかかる。
甘えや泣くのを我慢していた少年は大人の色のHow Toを示すまでに成長していた。
「トシ…死ぬ時まで抱き合いたい…」
俺の鎖骨にかかる吐息に心の奥底にせきとどめていた欲求が一気に下半身に雪崩れこんでくる。
死ぬかもしれないんだ。
今更兄弟だからとか、男同士だからとか言っていられるか!
「ハル…」
「トシ…」
見つめ合って、再び熱い口付けを交わす。
明日死ねる俺は最高に幸せだ。
愛する者と思いを通じ合って死ねるのだ…
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