ラプソディ

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口数少ないハルはよく「ぼんやりやさん」とからかわれていた。 小さい頃から、慎重過ぎてスローペースなヤツだった。 決して鈍感な人間ではない。 むしろ、神経が繊細すぎて人からの言葉や自分の行動を重く受け止めてしまいすぎる傾向があった。 ハルは一度経験したことは決して忘れない。 その才能はハルにとって辛い経験であればあるほど威力を発揮する。 友達に無視をされた日、ダイキライな注射を打った日、飼っていた愛猫が死んだ日、両親が揃って事故で死んだ日…ハルは曜日からその日の天気、人のセリフ、表情までをすぐに蘇らせることができてしまうのだ。 記憶力がいいのは不幸だ。 苦しみばかりを再現できて、喜びは再生しない。 人間嫌いになってしまったハルを思う時、何度俺は切なく胸が締め付けられたことだろう。
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