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俺は、ハルの友達と会うのが苦手だ。
ハルが俺以外の人間に親しげに笑いかけるのを見ると気持ちが塞ぐ。
ハルは俺が育てたも同じだ。
この8年、二人で協力し合って生きてきた。
ハルのことは俺が一番理解しているし、ハルが心から笑いかけるのは俺以外あってはならない。
汚くもバカな独占欲が頭の中で渦を巻く。
内に籠りがちのハルは成長するにつれ、社会で生き抜くための術を身につけてきた。
バイトも始め、俺の監視下には入らなくなった。
もはやすっかり大人だというのに、俺はいつになっても弟離れができない。
日々、一緒に過ごすことが、楽しくもあり、辛くもある。
ブラコン、で片付けられる感情ならば楽なんだろう。
過去に一度酔っ払った俺は介抱してくれるハルを抱き寄せたことがある。
その時アホなことを口走ったことを忘れてくれているだろうか。
あれから…一年経ったか…。
遠い昔なら無邪気に笑って触れ合えた空気に今は互いの存在が重くのしかかっていた。
迷いの風がリアルな俺達の間を吹き抜けた。
…ハルは忘れてはいないのだ。
背後から俺が近づくとピクリとわかりやすい反応を見せる。
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