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「愛してる」 僕が最後に伝えた言葉。 背を向けた彼女には届かぬ言葉。 ポロポロポロポロ流れる涙を、 必死に悟られることがないように。 冷静になって伝えてみる。 今更だから、もう、戻れない。 別れたという現実は 決して、変わらないのに。 自分から別れを告げておきながら 「さよなら」 が、言えなくて。 最後にそれを言わなかったのは 僕たちの関係に終止符を打ちたくなかったから。 遠ざかる彼女の後ろ姿に、 僕は罪悪感を感じながら。 ふらふらと、おぼつかない足取りで近くのベンチに腰掛けた。
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