不運

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しかし、生徒たちの混乱はそんな大袈裟なものにはならなかった。 すぐに収まったと言えば、語弊はあるが被害は極わずかだった。 理由は様々だ。 非常階段はある程度広く、一つの階に部屋は10個しかない。 混み合う所がかなり少なく済んでいた。 怪我人と言えば、転んで怪我をする程度の奴が出るだけだった。 そして、逃げる時間がかなりあったこともこの被害の少なさの要因であった。 一応、学外寮は大きな建物で、32階まである。 そこら辺のビルにも負けない高さである。 だから、非常階段から逃げる最上階の生徒にはかなりの時間が必要となるのだ。 〔もちろん、飛ぶ魔法が使える生徒には関係がないが〕 そのため、この寮はかなり強く造られている。 耐震、耐熱、耐水、耐火。 その他もろもろの防災性能が高いのだ。 よって、燃え広がるのにかなりの時間がかかる………というよりも、実際はその一室をだけが燃えて、燃え広がらなかった。 これが、被害小縮の最大の要因だったかもしれない。 そして、それだけでもなかった。 燃え広がらなくても、その一室は激しく燃えているわけだ。 そう、消火も迅速だった。
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