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「はい………。
………はい……。
わかりました」
一人で呟く彼女だが、彼女の手には通信の魔法陣が握られている。
どうやら自分より上の者に話しているようだ。
それがどのような所属のどのような人物なのかはわからない。
そして、話している間に彼女は人の巨大な塊から脱出した。
「……では、失礼します」
彼女は礼儀正しく挨拶すると通信を切った。
「フゥ~」
彼女は暑苦しく人だかりにいたからか、大きく息をはいた。
そして、乱れた髪を整える。
肩までかかる妖艶なピンク色の髪がなびいた。
更に人々が人だかりを作ろうとする中、彼女はまた歩き出す。
そそくさとその場を去る姿はそのピンク色の髪のせいか、少し人目についた。
更に彼女の去り方は不自然で逃げるようにも見えた。
――――
1時間後。
野次馬も消え、その場にいつもの平穏が戻っていた。
……一つの部屋を除いては……。
そう、その火事が燃やした唯一の部屋…、寮の外から見て黒く焦げているその一室こそ……………
俺の部屋だった。
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