また一緒に。

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    「洋菓子の詰め合わせ」 中身は何だろう、って小首を傾げて紙袋を見てたら、大倉さんが言った。 「…お菓子? いやそんな、頂けません」 慌てて、手を振る私。 挨拶だけでも十分律儀だっていうのに、手土産までもらうなんて、申し訳ない。 「いいから、いいから。 隣人じゃないけど、越した時の挨拶には欠かせないじゃん」 「まぁ、そうですけど…。 …じゃあ、頂きます。 ありがとうございます」 「いーえ」 遠慮がちにも、紙袋を受け取って、ぺこりと頭をさげた。 その一瞬の間に、大倉さんがボソリと何か呟いたけど、声が小さすぎて私には聞き取れなかった。  
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