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ヒール、高くはないから大丈夫とは思うんだけど。
「言ってくれれば、履かなかったのに」
「ああ。
まあ、いーんじゃね。
似合ってるし、つか全体的に可愛いし」
「え?」
今、可愛いって言った?
可愛いって……。
「とにかく言って。
きつくなったら」
「あ、う、うん」
少し意識を手放していた私は、昂希君の声で意識を取り戻し、小刻みに頷く。
昂希君はフワッと柔らかい笑顔を見せて、私に手を差し出した。
その手の上に手を重ねると、優しく包むように握られ、そしてゆっくりと下へ降りていった。
「……」
あれ?
可愛いって言葉……。
好きな人に掛けられたら、言葉で何も表せれないほど嬉しくなるものだっけ。
ジワジワと火照る頬を片手で押さえ、もう片方の手は彼の手に引かれながら、私は前へ前へと進んでいく。
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