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おばあさんとの思い出が沢山つまったこの場所に、私を連れてきたいと、思ってくれたこと。
そして、それを現実にしてくれたこと。
初めてが私だということ。
「……」
「また泣く。
泣かせるつもりなかったんだけど」
自然と、ポロッと大粒の涙が、私の目から零れ落ちていった。
「なあ、夏南」
ただ黙って、ポロポロと涙を溢す私の手を、昂希君が優しく握る。
なんて落ち着くんだろう。
彼の手の温度と、
優しさは。
やがて血も繋がるんじゃないかと思うほど、彼の手と私の手は隙間なくくっついている。
「これからも夏南以外、連れてくることは絶対無いから。
この手も、何があっても離す気ない。
夏南が俺から離れていこうとしても」
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