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グシッ、と頬にある涙の跡を手の甲で拭って、真っ直ぐ彼を見る。
「いこうとしても、って前提なんだ?」
「もしだよ、もし」
「じゃあ……、そのもしがあった時は、絶対離さないでね」
「言ったじゃん。
離す気ないって」
「うん、そーだね」
私は、強く吹いた風によって横に流れる髪を片手で押さえながら笑った。
最後に零れた涙は、その風に乗って、どこかへ飛んでいった。
「ぶつかり合うことや、すれ違いとか。
疑うことも、これから先あると思う。
だけど、思ってること伝えて、とことん話し合って。
また笑い合って。
臭いセリフなの、承知で言うけど。
愛も沢山語り合えるような2人で居れたら、と思ってる」
「……臭い。
し、こしょばい」
「俺だってこしょばいし」
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