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ずびーっと、鼻を啜る。
昂希君が出してくれた、アイスティーが入っているコップを両手で持ちながら。
「漫画みてえ、あんたの鼻啜る音」
昂希君が喋った。
いや、喋るのは当たり前のことで、至って普通なんだけれども。
テーブルに頬杖をつき目の前に居る私に、おかしいとでも言いたげな笑みを向けている。
「……私が泣いたの、誰のせいよ」
つい皮肉が口をついて出る。
ていうか、それしか言えない。
だって、ひとしきり泣いた後に聞かされた、酔ってからのこと丸々全部、嘘だったのだから。
本当に何がおかしいのだろうか。
口元に手を当てて肩を揺らしている彼が、吐いた嘘だった。
私が誘ったことや。
その、や、やった、ということも……。
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