やっぱり冷たい。

2/37
4021人が本棚に入れています
本棚に追加
/506ページ
  ずびーっと、鼻を啜る。 昂希君が出してくれた、アイスティーが入っているコップを両手で持ちながら。 「漫画みてえ、あんたの鼻啜る音」 昂希君が喋った。 いや、喋るのは当たり前のことで、至って普通なんだけれども。 テーブルに頬杖をつき目の前に居る私に、おかしいとでも言いたげな笑みを向けている。 「……私が泣いたの、誰のせいよ」 つい皮肉が口をついて出る。 ていうか、それしか言えない。 だって、ひとしきり泣いた後に聞かされた、酔ってからのこと丸々全部、嘘だったのだから。 本当に何がおかしいのだろうか。 口元に手を当てて肩を揺らしている彼が、吐いた嘘だった。 私が誘ったことや。 その、や、やった、ということも……。  
/506ページ

最初のコメントを投稿しよう!