45人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、龍飛が思ったように事は進まなかった。
「天道、どうした。具合でも悪いのか?」
先生が授業を止め、そんなことを言ってきたからだ。
どうやら、この伏せた態勢が気になるのだろう。寝ているように見えるから。
……さあ、どう答えたものだろうか?
そう思いながら、ゆっくりと顔を上げる。
「……はい?」
……二度聞きした。
それに、渋い顔をした先生は律義ににも答える。
「体調が優れないのか?」
「優れません」
これ以上、授業を受けるのが億劫だったので、そう答えた。
「大丈夫か?」
「ダメです」
すがすがしいほどはっきりと言う。
ついでに、目を半開きで、だるそうな芝居をする。
それに、こう言ってやった。
「……すいません。ちょっと我慢してたんですが……保健室行っていいですか?」
「え?ああ、早く行ってこい」
そのちょっと頓狂調子の言葉を聞くやいなや、龍飛は立ち上がり、ゆっくりと、あまり早くない速度で(だるそうに)教室から出て行った。
さあ、どこに(保健室以外)行こうか……。
そう思いながら……
ーーー
最初のコメントを投稿しよう!