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今日は厄日だろうか。授業では目をつけられ、休もうとしたら先客がいて、自殺志願者を助けようとしたら……死にそうになって……。
そんな風にぶつくさ 思いながら、龍飛は屋上の縁に片手でぶら下がっていた。
とっさに縁を掴んで上手くいった結果だ。
しかし、後少しで落ちてしまいそうで、両手で支えたいが、もう片方の腕は女子を握っているので、両手で支えることができない。
しかも、
「離してよ!」
「嫌」
「は~な~せ~!」
とまあ、女子がまるで子供のようにあばれるので、たまったもんではない。
そして、また『ガリガリ』と手を引っ掻いてくる。たぶんとてもひどいことになっているだろう。
ったく、本当に離してやろうか?
だいたい、自殺志願者の思考回路なんて理解出来たもんじゃない。
いいかげん、体力的にもまずいしな、と思った龍飛は次の行動に出た。
その一、<恐怖心を煽る>
龍飛はゆっくりと、女子に分からないように、彼女を持ち上げる。
そして、声をかけた。
「おい、下を見るなよ」
行動心理だなんてわからないが、こう言えば女子が下を向くような気がした。
そして、彼の思った通り、彼女は下を向いた。
同時に彼は、『手を離した』。
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