間章 『オレ』と『アイツ』とそして……『あたし』

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そして、次の日の昼過ぎまで、ふたり揃って眠りこけ…。 目が覚めるなり、お互いの寝起きの顔を罵り、笑い合い…。 また日が暮れて、夜が訪れ、一日が終わり…。 その夜からは、もう一緒に眠ることはなかった。 そして月日が流れ、アイツの髪が全部白くなっちまった頃。 もう少しぐらい賑やかでもいいかと思い、使い魔契約をしたら…。 『あ…貴方達…今までどうやって生活して来たのっ!? ティアっ!チョコレートはおやつでしょっ! シンもビーフジャーキーばっかりだと、栄養が…って、これっ!ペット用じゃないのっ!? ウソじゃないわよっ!?ここにワンちゃんのイラスト載ってるでしょうっ!!? いいこと?食事というのは…こらっ! ふたり共、ちゃんと聞きなさいっ!!!』 やたら、口うるさい使い魔が現れ…。 そんなアイリも加わった、三人での生活にも慣れた頃。 珍しい菓子が手に入ったっていう、ラピスバアさんに釣られて、のこのこツラを出したら…。 『よいか、ティア! 『ブルーヘキサ』は、お主に任せる! ワシは運命のだーりんを探しに、旅に出ねばならんのじゃっ! 赤い糸で結ばれた、ふぃーりんぐバッチリなだーりんが…。 きっと…ぐすっ…どこぞで…ひっく…ワシを待って…うえぇぇぇぇっ! ヴァンのバカタレ!アホタレ!ションベンタレぇぇぇぇぇぇっ!!!!!』 長年の想いを告白し、見事に玉砕したラピスバアさんにギルドマスターなんて、メンドくせぇモンを押し付けられ…。 そうこうしてるうちに、いつの間にか…。 本当に、いつも間にか…。 オレの髪は腰の辺りまで、伸びちまってた。 けど…。 なにを教えるでもねぇ。 なにを教わるでもねぇ。 カタチだけの適当で、あやふやな師弟関係は、いまだ変わることなく続いている…。 そうして、ふと気付いた時には、『あの夜』から、もう六年もの月日が流れちまってた。
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