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「さ~~びぃ~~」
セーターにコート、おまけにマフラーと手袋まで装備したが、家から5歩離れて既に戦意喪失していた。
吹き荒ぶ寒風は無慈悲な針となって肌に突き刺さってくる。身は震え、歯を鳴らし、千切れそうな耳を手で覆う。
――――大げさな表現を終えようやく家から10メートル進んだ。
とりあえず俺の向かう先は最近近場に出来たコンビニ。コンビニなら、履歴書も買えるし、あと……あれだ。駅とかコンビニに無料で置いてある、近辺でバイト募集してる店が載ってるあれ。
名前忘れたけど、例の“あれ”もゲット出来るから一石二鳥!
あと暖かいしね、コンビニって。うん。
―――――――†
「…………」
『バイト募集中。高校生以上から。時間は17時~23時まで。週4日以上から。時給820円。
連絡先04□―58××―33△△』
「…………さむ」
こうして俺は、履歴書を買いに行ったそのコンビニをバイト先に選んだ。
決して寒いからとか、面倒だから早く決めたかったとかが理由ではなく。
ちなみに例の“あれ”は貰っていったが開く事もなかった。
てなわけで履歴書。
『名前:荒川 洸太(アラカワ コウタ)
1990年3月3日(満18歳)男
○○県××市△△町228
04□―28××―66△△
××市立○○中学校卒業
私立○○高等学校入学
私立○○高等学校卒業見込みetc
応募の動機、目的、自己PR:初めてのバイトですが一生懸命頑張ります』
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