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暇だ…。
俺の朝の仕事は、そうつぶやくことから始まる。
身体は決して暇ではない。
むしろ、平均的な怪盗より忙しいくらいじゃないかと俺は思う。
だが。
暇だ。
上手く表現は出来ないのだけれど、うん、そう、心が暇なのだ。
「さじーん」
バタン
ふわふわした白い塊が、俺の机目指して突進してくる。
残念、今日の俺はそっちにいない。
にやっとしたのもつかの間、白い塊はふわっと方向転換して、ぽーんと飛んだ。
少し体温の低い、しっとりとした手触りのいい物体は、すぽんと俺の腕の中に納まる。
勘がいい、という域を超えている、といつも思う。
「SAJIN、ちゃんと食って来たのか?」
「あい!ちゃんとピーマンも食べました」
俺の腕の中で上体を反らし、にぱぁと笑いながら答える。
褒めて褒めてーという声が聞こえるようだ。
「あー、偉い偉い」
おざなりに褒めて頭をなでてやるが、どうやらそれでかなり満足そうだ。
わからねぇ~。
いいのか?
ホントにそれでいいのか?!
はいはい。
まぁ満足してるならそれでいっか。
考えたり分析したりすんのは、頭脳派のやつらにやらせときゃいいし。
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