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小さな道から、車通りの多い大通りへ抜ける。
車の流れをみる必要はあるが、さっきのような飛び出しでイライラすることはほとんどない。
何となく、かけていたCDを切り、有線に切り替える。
外国のコトバの元気のいい曲があふれ出てくる。
真夏の太陽とそれは似合いな気がして、俺のテンションもヒートアップ。
このまま真っ直ぐ行ったら…、海だな。
俺のアクセルを踏む足は、心持深くなる。
体感出来ないほどのわずかな加速。
それは、運転者にしか気付けないと思ったのだが。
にぱぁ。
俺の気分を読みとるようにSAJINは目をいっぱいに開き笑った。
本当に不思議なやつだ。
「さじん、ドライブってー?」
窓をいっぱいに開け、びゅうびゅう風を受け、外を見たままでSAJINが言う。
「ドライブか…。んー、車で好きなとこへ好きなように走ることだ、うん」
ジェットエンジンとか積んで、すごいスピードで走ったら楽しいかもしれない。
「SAJIN、お前、海行ったことあったっけ?」
「海ってなにー?」
どんどん変わる外の景色に、目を離せないまま言う。
「塩水がいっぱいあるところだ」
「塩水いっぱい??」
「魚やカニもいるぞ」
「お魚!SAJINいっぱい食べます!」
食べる方と勘違いして、嬉しさにうっとりとその白い肌がうっすらと紅色に染まる。
魚は…、泳いでるんだよ。
泳いでる小魚をみた時に、こいつはいったいどんな反応をするんだろう?
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