怪盗彩華～それぞれの生き方

暇だぁ～怪盗さじんのある日

あ、土産に干物とかもいいかもな。
するめで日本酒もいいな。
海の傍ならそのくらいの土産売ってんだろ。

海辺に着いてちょっとした岩場にSAJINをおろしてやると、想像以上に大喜びだった。

「さじん！変なのがいます！！」

SAJINにとっては見るモノ全てが変なものだ(笑)

「あぁ、イソギンチャクか」

「巾着？」

「んー、生き物だ」

水中に手を入れ、つんとつつくと、イソギンチャクはぴゅっと縮む。

「！！」

さらに目をまん丸にするSAJIN。
俺にとっては新鮮な反応をするSAJINの方が面白い。

SAJINの変なのは、それにはじまりヤドカリやふなむし、フジツボ、それに俺の知らないものにまで及んだ。

失敗したなー。
網くらい持ってくるんだった。

来る予定がなかったのだからなくて当然なのだが、俺は心底残念に思った。

タイトプールと呼ばれる岩場は、昔の天然冷蔵庫だ。
小さいころ聞いたことがある。
だが使われていない現在は、小魚のかっこうの住みかだ。
目の前をいっぱい魚が泳いでいるが、川魚と違って海の魚は動きが早い。
とてもじゃないが、素手じゃ太刀打ちできない(笑)

さんざん遊んで、水浸しになったSAJINを俺はタオルのように絞ったらどうなるんだろう？という好奇心に耐えた。

だって多分俺の力で絞ったら…。
いやいや、考えるのはよそう。