第壱話〈絶望と終焉〉

2/30
前へ
/36ページ
次へ
変な夢を見た。 内容はどんなのだったか、はっきり覚えていないけど、僕は暗闇の中を一人で身動き出来ずにいた。 動けなかったわけじゃない。ただ何も続きの見えない暗闇が怖くて身動き一つ取れなくて、怯えていた。 だが暗闇は一気に晴れた。何が起こったのかよく分からないうちにあたりは真っ白に染まった。それでも雰囲気は変わらず、僕は浮いているようにまた固まってしまった。 すると目の前に誰かが一瞬現れた。 黒い髪のロングヘアーというのだけは分かったが、あとは全く印象にも残らなかった。 たった一瞬だけ現れたのは多分君だったと思う。いやそう思うしかなかった。 僕の人生で黒い髪のロングヘアーの女性で記憶しているのは君だけだったから。 君が居なくなった瞬間、また不安の気持ちが蘇り、僕はまだ一歩も踏み出せなかった。どうしたらいいか分かんなかった。 そして僕は目の前はブラックアウトするかのように、すぐに暗闇へと墜ちた。 そこで夢が醒めた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加