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「…美月が筋金入りのバカだってこと忘れてたよ。」
「そのまま忘れてくれてたらよかったのに。」
「え?何か言っ「てません。ごめんなさい。」
振り向いた陽奈の笑顔が怖くて、美月は土下座をせんばかりの勢いで頭を下げる。
分かればいいんだと、陽奈は弓の入っているケースを開けた。
やっぱり陽奈には敵わないと思いながら美月も楽器を準備していると、ガララとドアが開く音がして楽器を抱えた俊樹が入ってくる。
「おー?何、また美月は陽奈にイジられてんの?」
「俊先輩だってイジられるくせに。」
「俊先輩、遅刻ですよ。もう3年なんだから時間位守って下さい。」
俊樹は陽奈にごめんと謝りながら、美月の頭を力いっぱい握る。
「痛い痛い!ていうか、陽奈ちゃんだって文句言ったじゃないですか!!」
「お前の方は一言多い。」
「酷い!差別だ!」
握られた頭をさすりながら、美月は俊樹を睨む。よほど痛かったのか、睨んでいる目は涙目になっていた。
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