第七抄

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――来タカ。 侵入者に対し、笑い誘う声が聞こえる。 狂気の声をあげ、浅ましく狂う妖気。 あたたかも地獄絵図の宴のように。 ――待ッテイタゾ。 ――楽シヤ、楽シヤ、今宵ハ宴ダ。 狂オウ、狂オウ。 7cfd5ed2-b0a4-4abb-8668-5f58d157b22c その狂態を凝視した彼はうっすらと微笑んだ。 嬉しいか。こんなことが嬉しいか。 「急かすな。すぐにそこへ行くさ」 けた、けたと暗闇の中で再び笑いが起こった。 ――オ前ニ逃ゲ道ナドナイ。絶望ノミダ。 ぽこり。あちこちで地面が盛り上がり、割れて、地中から人間の子供の大きさ程の蜘蛛や百足が這いだして来た。 血の色をした無数の目が瞬く。 コリコリという骨を咀嚼する音が後に響く。 出現したのは鬼姫に従う餓鬼達。 その他にも、いびつな妖が具現して蠢いている。 ――魑魅魍魎(チミモウリョウ)。 びょう。びょう。 怨嗟をのせた妖気が押し寄せるように狂を包んだ……。 .
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