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『ギャッ……ギャッ……』
じくじくと、妖気が降り落ち、地中から滲み出し無限に蠢く。
「ちっ、時間の無駄だというのに」
邪魔がしつこい事に対する苛立ち。
また、少年めいた彼の瞳の奥で訝し気なものが揺らめく。
そして彼は、数歩跳び退って、太刀を空へ向かってふりかぶった。
「童子切安綱、破魔の太刀よ。我が呼び声に応えよ――!」
バチッ!
詠唱と共に、落ちるはずのない稲妻が狂の持つ太刀に落ちた。
破魔の太刀に紫電があつまっていく。
稲光だけではなく、風が、気が、彼を中心に駆け抜ける。
バチバチチチッ!
ギイイイィィン!!
暴力的なまでに高まった紫紺の雷光。
迸る妖しい太刀を構えて、走り出す。
「散れ」
彼は妖しく美しく笑みを深めた。
『逃ゲロ……!!』
ハッと妖魔達が後ろに跳び下がり空へ跳躍した。
反射的な行動だが、既に遅し。
狂は刀を大きく一振りした。
ドォォォオオン!!
雷が駆け巡る。
薄青く輝き、木々の影が鮮明に浮かび上がる。
轟音と共に放たれた気。
目がくらんで何も見えない。
ただ、魑魅魍魎が輪郭を崩し、跡形もなく消滅したのが分かった。
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