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「え?これからすぐに?」
麗子は「戸惑い」を覚えた。
「初めて乗せるのに、ガールフレンドでも誘ったら?」
「・・・約束したじゃないですか」
「・・・」
言葉に、つまった。
「何か、ご都合があるんですか?」
順次の明るい声が、少し曇った。
黙ってしまった麗子に、不安を感じたらしい。
その気配に、針で心を刺されるような痛みを感じた。
「・・・特別の用はないけれど」
そう麗子は、答えていた。
「それなら、いいでしょう?今日は由真ちゃんを見る日だから、それまで」
「そうねえ。由真が帰ってくるまでなら」
「・・・じゃあ、はりきって出発しますね」
順次の弾むような声が、耳にひびいた。
受話器を置いた麗子は、右手の中指で、額を押えた。
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