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車をUターンさせ、ビルの前に停める。
傘を差さず、ゆっくり歩いて来た陽は、助手席に乗った。
雨の匂いと一緒に、陽の柔らかい香りが舞い込んで来る。
あたしは黙ったまま、フロントガラスを流れる透明の雫を見ていた。
「ルナ、ありがとね。来てくれないかと思ってた。」
一瞬だけど、ドキッとした。
チラッと見た彼は、初めて逢った時みたく緊張した表情をしていて‥
その顔が、とても綺麗だったから。
あかん、あかん★
あたしは、本気で怒ってるんやもん!
惑わされたらダメ!
素直になれないあたしは、自分のキモチの微妙な変化に、気付かないフリをした。
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