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「おっはよーん!」
教室のドアを開けるなり、クラスメートの一人、幸子が飛びかかってくる。犬みたいな娘だ。いつもの事なので別段驚かないが
「おいーっす」
そのまま幸子を引きずりながら席に向かうと、先客がいた
人の机に乗っているのは梢。背が高く、自他共に認める男勝りな娘。こっちもやたら朝から騒がしい
「梢クン。席の持ち主が来たんだ、退いたらどうだい?」
そして、私の斜め前の席でハードカバーの本から顔を上げずに忠告してくれたのが七海。少し変わった喋り方をする
私は、概ねこのメンバーと一緒にいる。いつの間にかこのグループが出来上がっていた。まぁ、親しいと言っていいと思う
「ねぇ!今日帰りどっか行こうよぉ」
「幸子クン、まだ朝なんだが?」
「シチミさんは固いね~。早めに予定を決めんのもいいじゃん」
「自分の辛口は自覚してるが〝ナナミ〟だよ。蛸(たこ)クン」
「柔軟は得意だけど、あたしは骨のある方だぜ」
「こっちん、海ちゃん。サチの為に争わないでー」
やっぱり騒がしい。学校に来て数分でこれだ……朝が来たって感じはするけれど。そんなみんなに私は言う
「……おはよう」
一瞬の沈黙の後、どっと笑いが起きた。笑いが起こる意味が分からないけど
「おっはよーん!咲ちゃん」
「あははは!相変わらず朝弱いなぁ。おっす!」
「おはよう。目は覚めたかい?」
ともかく、こうして私の1日が始まった
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