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激化していくテロ、自力で抑え込む力も無い国家軍は企業のAC部隊を雇いテロリストの一掃を目論んだ。国家軍など要らないのではないか、と言われる程に彼らは手際よく、最小限の犠牲でテロリストを排除していった。
住宅街で起きたテロ。自分の家の近くだ、と急いで帰ると悠然とそびえる白のACとソレを讃える近隣住民の姿があった。多くの人々の感謝の言葉を背に飛び去っていく姿は、神の使いのように神々しく輝いて見えた。
だから家に着いた時、俺は世界に神がいないことを悟った。
60mm弾が無数に突き刺さった玄関、しらない大人たちの肉片。巨大な薬莢の下敷きになっていた妹、挽肉に塗れた母親のエプロン。飛び去った天使の足元に自分の家があった、ただそれだけの事。最小限の犠牲、仕方が無い事。
もし神様がいてアレが本当の天使だったら、天国はサディストに溢れているんだろう。
<α3、7、9。ミサイル!>
<<フルロック、ファイヤ!!>>
3機から同時に放たれた誘導弾、再開された攻撃に素早く反応する羽付き。急旋回しながら浮上、ライフルを後ろに向け振り切りながらミサイルを打ち落とす。
後方に陣を置いていた4機がライフルで弾幕を張るが瞬発的なブーストで殆ど当たらない。当たったとしても羽付きの展開している防護フィールドに弾かれるだけ。そしてその進行方向にあるものを思い出す前に、羽付きのアサルトライフルがシールドを構えたソレを蜂の巣に変える。
<α2、後はまかせ――>
<隊長!? くそぉ、全機ミサイル用意!>
指揮権を譲られたα2がミサイルを放ちながら命令する。
迫り来るミサイルを前に突如減速する羽付き、胸部の装置が展開し防護フィールドが視覚化する。全弾ヒットするミサイル、だが爆煙から飛び出してきたのは無傷の羽根突きだった。
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