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八方から襲い掛かるミサイル、一瞬見極めるように見渡した後、再び動き出す羽付き。ミサイルを引き付けながら交錯したその数秒で3機を撃墜する。追いついて来たミサイルを再び防護フィールドでやり過ごし、残った6機のいる大通りを滑空する。当たらないライフル、撃ってこない相手に焦りを抱く。
全機を抜いた所で反転し急上昇する羽付き、途端ただの羽だと思っていた背部のパーツが変形、その砲門を残りの的に向ける。不気味なほどに淡い青色の光が砲身に灯ったかと思うと、その光の渦は一瞬の間もなくコアに突き刺さる。
溶解していく装甲、有り余る暴力が周囲のものを巻き込んでいった。ほれ見ろ、やっぱり神様も天使もこの世には居ないんだ。あの世にいたって俺達が苦しむのを見て笑ってるだけなんだ。
光が止んだ後、空にはあの時見た天使が漂っていた。
誰の賞賛を受けるでもなく
誰の怨嗟を受け止めるでもなく。
ただ悠然と禍々しく――
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