1人が本棚に入れています
本棚に追加
「も、もうやめようよ。そろそろ授業始まっちゃうよ」
おどおどした声で二人を止める彼女は清水。
こいつも里中同様、表では見事な優等生を演じている。
だが裏では、人が目の前で殴られるのを見ることが大好きな人間。
本人にその自覚があるかは分からない。彼女はいつも二人のストッパーを担っている。
自己防衛だと思う。第三者のポジションを保つことで、行為が発覚した際にとぼける為に。
『私は止めたんです! でも二人は彼を……』
という風に、だ。
女は怖い。松永たちを止めている癖に、目は輝いている。
「チッ! じゃあなチキン。早く学校辞めろよ」
三人は僕を一瞥し、それぞれの教室へ帰っていった。
僕も行かないと。
その前に、僕のポケットに入っている物を確認する。
再生ボタンを押すと、先程のやりとりがノイズまじりに聞こえる。
大丈夫。壊れてない。
これが壊れちゃ折角の計画が台なしだ。
卒業式まであと半年。
あと少しで準備は整う。
最初のコメントを投稿しよう!