フライドチキン

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「も、もうやめようよ。そろそろ授業始まっちゃうよ」 おどおどした声で二人を止める彼女は清水。 こいつも里中同様、表では見事な優等生を演じている。 だが裏では、人が目の前で殴られるのを見ることが大好きな人間。 本人にその自覚があるかは分からない。彼女はいつも二人のストッパーを担っている。 自己防衛だと思う。第三者のポジションを保つことで、行為が発覚した際にとぼける為に。 『私は止めたんです! でも二人は彼を……』 という風に、だ。 女は怖い。松永たちを止めている癖に、目は輝いている。 「チッ! じゃあなチキン。早く学校辞めろよ」 三人は僕を一瞥し、それぞれの教室へ帰っていった。 僕も行かないと。 その前に、僕のポケットに入っている物を確認する。 再生ボタンを押すと、先程のやりとりがノイズまじりに聞こえる。 大丈夫。壊れてない。 これが壊れちゃ折角の計画が台なしだ。 卒業式まであと半年。 あと少しで準備は整う。
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