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「……な、なんで私なら止められると思うの」
肩の震えは止まったが――
清水、顔がニヤけてるぞ。
腹が立ったが、計画通りだ。恐ろしいくらいに。
僕は、怯えた態度を心掛けつつも目に力を入れて彼女を見る。
「だって、いじめられている僕を助けてくれてるし……」
バッ、と顔を伏せる清水。うーん、もう一押しかな。
「お願いだよ!」
床に膝を着き、必死に懇願する。
額を床に擦りつけ、何度も、何度も、何度も。
そうしているうち――
「……クッ。ァハハ」
二人しかいない教室。
静寂に包まれたこの空間で、魔女の笑い声が響いた。
「し、清水さん?」
何も気づいていない振りをして尋ねる。
「いやぁ、あの二人があんたで遊ぶ気持ちがよく分かった」
おいおい、変身したぞ。もしかしたら本当に魔女なのかもしれない、などと疑ってしまう。
「え、どういう……」
「ホントに鳥頭なんだね。あいつら止めたいなら、教師に言ってるよ」
綺麗で、屈託のない可愛いらしい笑顔だった。
「じ、じゃあなんで」
「ん? 止めてた理由? そりゃそれが私の役割だからね」
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