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加藤 洋介。
一言で言うと、好み過ぎて苦手なのだ。
まず、良い匂いがする。
これは匂いフェチの私にはたまらない。
その上、
服のセンスが良くて仕事が出来る。
絶対に性格が悪い。
女にだらしない。
何より、色素の薄い大きな目が、
全てを見透かしそうで質が悪い。
「村レミ飲むなぁ。
何これビールしか飲んでないの?
焼酎は?」
「…。
飲めますけど、
悪酔いするんです。」
「へぇ、
いつも淡々と青白い顔して飲んでるから、
悪酔いしてるイメージとか無いな。」
そう言いながら、
加藤は私の隣に座り込んだ。
総勢20人は居る居酒屋は、
無理に席を変わると鮨詰め状態。
肩が触れ合う状態を気にしながら、
ジョッキで乾杯をすると、
悪い男はこう呟いた。
「村レミはさ、
彼氏どうしてんの?」
ほとんど話をした事も無いのに、
さも本人から聞いたように話になるのが
職場という狭い社会の汚点だと思う。
「残念ながら別れましたよ。」
普通の声音で言ったせいで、
周りの人まで振り向いてしまった。
「そう、
じゃあ、寂しい独り身な訳だ。」
「仕事が忙しいから丁度いいです。」
「ふてくされるなよ。」
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