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新しく運ばれてきたビールに口を運び、
机の下の足をひっそりと加藤に寄せる。
そして、
何食わぬ顔をして周りの会話に笑顔を向けた。
さりげない接触を、
加藤なら気にするに違いないと思っていが、
効果はてきめんだった。
「お前、
そういう風にも笑えるんだな。」
その言葉を聞いた私は、
少し下から見上げるようにして目を向け、
眉間に薄くしわを作り、
口の端に微かな笑みを刻む。
人の事を
『お前』
と呼ぶのは自分の女にしてからにした方がいいと思ったが、
加藤は私より5歳年上だからこの際しょうがないのか。
そもそも、
この男はそんな事も考えない程酔っているのか。
素で、女を勘違いさせるような男なのか。
「加藤さん、
私の事どういう風に見てるんですか?」
「冷徹、
傍若無人、
俺の事嫌い。」
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