それでも君が好き。

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  『好きー』 『早く俺のになってよ』 『一緒に居たい』 どれだけ甘い言葉を言われただろうか。 どれだけ惑わされただろうか。 彼にとっては冗談でノリ。 本気の要素など全く含まれていない。 それでも馬鹿な私は、彼を嫌いになんかなれない。 「ちょー好きーっ!」 「また言ってるよ。このチャラ男が。」 「ほんとだもーん!」 「はいはい。言ってろ言ってろ。」 「つーめたーいっ!」 女の子みたいな喋り方をして、わたしを好きだと言う彼。 前のわたしだったら、本気にしていただろう。 今はもう違う。 学習したのだ。 彼の好きは「おはよう」みたいなもの。 ラブではなくライク。 『ちょー好き。付き合おーよ。』 と言っていた彼が、2日後に彼女ができた。 あの時の、なんとも言えない感情と言ったらありゃしない。 本気にしたら負けだって、このことを言うんだと、その時に初めて知った。 「ねー、いつになったら付き合ってくれるのー?」 膨れっ面で言う彼を見て、可愛いと思ってしまった。 いけない。いけない。 また沼にはまってしまう。 「何処に付き合ってほしーの?」 「……もういい。」 そう言うと彼は、椅子の上に体育座りをして顔を伏せてしまった。 もういいのは、わたしの方だ。 振り回されたくない。 また、あんな気持ちになりたくない。 でもわたしは甘いのだ。 同じ事を繰り返すのを知りながら彼を許してしまう。
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