指先から気持ちが伝われば良いのに。

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  炎天下の中で行われた体育祭。 普通なら、だらけて適当にやりますけど豪華商品が出ますから、それはもう張りきってやるわけで。汗臭くもなるわけで。 他クラスに火花を飛ばしあい戦っていたのに、最後は何故かフォークダンスでしめる。 アンコールを含め2、3周で終わろうとするフォークダンスが、いま何故か4周目に突入。 多分、実行委員の悪ふざけだと思うけど。 おかけで、私は片想い大絶賛中の彼と踊れるわけですが………。 女の子なら気になりますよね?汗の匂い。 ましてや好きな人と踊るとなったら。 あと2人で好きな人に当たるけど、匂いが気になって気になってしょーがない。 気になればなるほど、汗は出てくるし。 そうこう考えている内に、愛しき君の番。 手が触れ、心臓は飛び出すんじゃないかってぐらいヒートアップ。 「背ちっさいね!」 突然話しかけてくるので、ビックリして顔を思いっきり彼に向けた。 「あ…踊りにくいよね?ごめんね」 「ぜーんぜん。背小さい方が可愛いよね」 そう言うと笑う彼。 向けられた笑顔に、私は何故だか泣きそうになる。 このまま時が止まればいいのに。 その笑顔を一人いじめ出来たらいいのに。 この繋がれた手から、私の気持ちが伝わればいいのに。
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