Nobodyknows.

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日野くんを誘ってた女の子、確か山本さんはなぜか勝ち誇ったような表情で、 「ほらっ、樋口さんもいいって言ってるじゃん!行こうよ」 日野くんの腕をグイグイ引っ張っている。 意外と、力あるんだね。 さっきからちょっとだけ日野くん引きずられてる。 でもどれだけ声をかけられても、日野くんの目はわたしを映してる。 な、なに?見ないで欲しい…。 わたしは恥ずかしくて日野くんから目を逸らす。 「やっぱ行かない。ちゃんとやるよ、週番」 日野くんはそう言うと山本さんの手を解き、わたしの前の席の椅子に向き合うように座る。 びっくりして、日野くんの目を見てしまった。 日野くんはさっきと同じようにわたしを見ていて、なんかもう緊張とかそんなものは相手にならなかった。 真っ黒な日野くんの瞳が、夕日に反射してキラキラしてた。 キラキラしてるのにものすごい迫力があって、吸い込まれそうってこういうことなんだ。とかぼんやり考えてた。 「ちょっと日野!」 山本さんの怒鳴り声で我にかえる。 ずいぶん大胆なことをしていた。 どのくらいの時間だったのかは覚えてないけど、冷静になると自分がとんでもなく恥ずかしいことをしていたと気付く。 「あっす、すいません」 何やってんだ。 自分を叱咤してまた日誌に目線を落とす。 「山本、帰ったら?暗くなるよ」 日野くんは、こんなときでも優しい笑顔でそう告げた。 “みんな”に親切なんだ。 山本さんはきっと日野くんに送ってほしかったんだと思うけど、結局何も言わずに帰っていった。
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