Nobodyknows.

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「オレの声?」 聞き返されて、まずいと思った。 これじゃ変態だ。 「え…あのっ、日野くんの声、な…んか聞きやすいから、っ…だから」 ヤバイヤバイヤバイ。 絶対気持ち悪いって思われた!! 「オレ…オレも、樋口の声好きだよ」 ドクン、と心臓が跳ねる。 日野、くん。 「………え、ぁ」 「聞いてると、ホッとする。樋口あんま喋らないから声聞けるとラッキーって思ってた」 日野くんが俯いてる。 なんで。何で。 恥ずかしい。 「そんな…わたしなんか。全然…ほんと全然だよ」 そんな神様みたいな人間じゃないよ。 すると、日野くんはおもむろにブレザーのポケットを探る。 「…樋口さ、コレあげる」 「わっ…!」 日野くんが急に近づいてくるから思わずのけ反ってしまった。 「ハイ」 「え?」 パシャ 「っあ、」 近づいてきたと思ったら携帯で写真を撮られた。 「あ、の日野くん…」 消して、そう頼もうとしたら 「見て。コレ樋口に似合うと思うんだ」 「あ…」 そこには薄いブルーのラインストーンがちりばめられたヘアピン。 をした、何とも言えない顔のわたしが写ってた。 「似合ってるよ」 そう言って笑った。 昼間の、日野くんだ。 「もらっていいの?」 「いいよ。つーか、姉貴が勝手にオレの制服のポケットに入れてたやつだから、なんか申し訳ないけど」 「そんなことないよ。すごくカワイイ。すごく嬉しい」 そんなことないよって、今度はちゃんと言えてホッとした。
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