長屋

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「それは良かった。 ところで神里高校の生徒が僕の病院で入院してるんだけど、 知ってるかい?」 ……岬さんのことか。 言っていなかったけど、 亮佑さんは神里市内大井病院の医院長でもある。 俺も始めは驚いた。 長屋の家賃だけで生活するのは無理なんじゃないか? って疑問があったのだが、 そんな事実を聞いたら馬鹿らしく思えてきた。 だから、 家賃は格安で妥協している。 妥協してやってるんだ。 ちなみに亮佑さんは三軒ある長屋の一軒に住んでいる。 偉大な人はわけわからん。 「はい。 さっき学校で聞きました。 骨折したと聞きましたが……本当なんですか?」 「事実だよ。 かわいそうだけど、 二週間……悪ければ三週間は歩けないと思うよ」 ……辰巳の話は本当みたいだな。 ……なら…… 「噂を聞くと……誰かに掴まれたと聞いてます。 それも本当なんですか?」 「情報は怖いなーー。 それも事実だね。 驚いたことに足にはくっきり手の跡があったんだよ。 くっきりとね」 リアルなのか。 だとしたら一体、 ……誰が?
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