22人が本棚に入れています
本棚に追加
--昼休み--
「……なあ、 唯」
「ん?」
「パリー・ホッター好きなのか?」
「映画は好きだ。 本は長いから読む気になれないな」
「わかる。 俺もそんな感じ」
我が高校には意外にも食堂が存在する。 その食堂の一角で他愛ないのない会話をしているのは、 無論……俺と辰巳である。
「しかし驚いたよ。 朝からパリー・ホッターの本を五冊抱えて教室に入ってくるなんてさ」
「……バカ野郎。 一番驚いているのは俺だぞ。 少しでも荷物を軽減しようと置き勉してるのに、 逆に増えてどうするんだ。 このイライラは誰に当てればいい」
「階段で理想的な出会いをした相手だろ。 ……俺には当てるなよ。 ロッカー貸してやってるじゃん」
「ふーー。 まあ、 そんなことする気はないけどな」
「で、 あのパリー・ホッターはどうすんの?」
「……放課後に返す予定だ。 てか、 返す」
返さねば俺のロッカーは使えないからな。
「そうか。 手伝ってやろうか?」
「ああ、 よろしく頼む」
「よし! 任せろ!」
何だかんだ言って、 こいつは優しいんだよな。 また少し雑談して昼食を終えた。
最初のコメントを投稿しよう!