長屋

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--放課後-- 「…………悪い」 「……お前って奴は」 俺は辰巳……いや、 バカ野郎に呆れていた。 ……何故か。 教えてやる。 「……放課後に補習がある。 だから本は返せない」 「その補習は自意識に行く補習か? ……ん?」 「……指名補習です」 「……つくづく救い用のないバカ野郎だな」 「……自覚しています」 ……というわけだ。 呆れるだろ? 「……補習、 頑張れよ。 ……し・め・い・補習」 「……はい」 面倒くさいが、 とっとと済ませるか。 俺はパリー・ホッター五冊を抱えて、 辰巳を教室に置いてきた。 えーーと。 図書室は、 一階の一番端だっけな。 たしか……こっちに……おっ、 あったあった。 とりあえず入るか。 このお荷物を俺の腕から解き放たなくては。 …………ガラガラガラ。 図書委員は……いたいた。 貸し借り場所に座ってる。 「すみません」 「はい。 なんでしょ……あ!」 ……こいつ、 見たことあるぞ。 メガネかけた美少女。 ……朝会った女子だ。 「よう。俺の事覚えているか? パリー・ホッター返しにきたぜ」
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