長屋

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今年から高校一年生になった俺、 楠唯は……一人暮らしになった。 理由は単純だ。 実家からは通えない範囲の学校に通うことになったからである。 何故、 一人暮らしざる負えない高校を選んだか、 なんて理由も単純だ。 ……なんとなくさ。 根拠はない。 なんとなく。 でも一つだけ譲れないものがあった。 ……普通の高校生活。 普通の高校生活をしたいわけではない。 普通ではない高校生活をしたかった。 だから辺境の地に建つ神里高等学校を選んだのだ。 神里高等学校は山の中にある高校だ。 人里離れた学校というわけではなく。 坂道を上がれば目にすることのできる学校なのだ。 坂道を下れば神里市があって、学校から見る神里市は結構広かったりもする。 辺境の地での生活。 憧れはとても大きかった。 だから辺境の地に足を入れたのだ。 「おーい。 唯!」 ……人が解説してるときに話し掛ける馬鹿は誰だ。 「唯? 聞こえてるか?」 …………。 「ゆーーい!」 「……なんだよ」 「おいおいおい。 聞こえてるなら返事しろって」
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