長屋

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「ふーーん」 まあどうでもいいんだが。……パンクね。 今度自転車で走ってみようかな。 いやしかし、 そんな好奇心で事故ってもしょうがないか。 「でさ、 岬さん足を骨折したんだって」 「……は?」 「だから、 骨折したんだってさ」 「骨折って……パンクしただけだろ」 「違うんだよ! パンクしただけなら全然いいんだよ。 その後なんだよ」 「……交通事故は上乗せの話?」 「そう。 交通事故は前置きさ」 ……つくづく面倒くさいやつだな。 「それで?」 「岬は誰かに足をつかまれたって言ってるらしいぜ!」 …………誰かに? 「誰にだよ」 「それがわかってるなら、 謎の事故は解決してるさ」 「…………」 「あれ? もしかしてビビった?」 「……さあな」 誰だかわからない野郎に足をつかまれ……たか。 パンクさせられて足をつかまれて骨折。 ……ん? 骨折? 「辰巳」 「何?」 「今の話を聞くと、 岬さんが骨折する要素が見つからない」 「だから、 足をつかまれたって言ったじゃん」 …………は? 「足をつかまれたから何だ」
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