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「う・・・」
かなめの呻き声があがった。
「い・・・いったい・・・何を使ったら・・・?」
「ココアパウダーとミソペーストだ」
「へ・・・?」
「だから、ココアパウダーとミソペーストだ。我が家の秘伝の味だ」
「・・・・・・」
事も無げに答えたカリーニンに、かなめは目を点にしたまま絶句してしまった。
「・・・ボルシチに・・・ココアパウダーに・・・お味噌・・・?」
「うむ。激務に疲れた私の体を癒してくれたものだ・・・」
カリーニンは何故かそこで少しだけ遠い目をし、またかなめの方に視線を戻した。
「さぁ、それを持って行くのだ」
「いや、あの・・・そのぉ・・・」
顔面を蒼白とさせ、ボルシチを持っていかないでいいような言い訳を、必死に考えるかなめ。
「や・・・やっぱり汁物だから・・・ね?」
至って平凡な理由に対してカリーニンは、
「問題ない。このポッドを使え。絶対にこぼれない。そして、温度もかなりのレベルでキープすることができる」
いや、そうじゃないんだよねー・・・。
と、心の中でぼやくも、聞こえるはずもなく、そのまま持たされてしまった。
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